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【インドをよく知る】


6) 政治


5.80年代の会議派の政治


 今回はインド国民会議派についての、80年代から90年代初頭の自由化に至る状況についてまとめます。


 1970年代半ば、インフレや政治腐敗に対する国民の不満によって各地でおきたストや暴動に対して、会議派のインディラ・ガンディー政権は非常事態を宣言し、一党独裁的な政治運営を開始しました。

 そして社会主義的な人気取り政策を打ち出しましたが、その後77年に実施された第6回総選挙では大敗北となりました。


 これを受けて会議派が次に打ち出したことは、ヒンドゥーを前面に出すことでした。

 インド憲法が定める国家理念としての政教分離主義は、多宗教国家インドの国民統合を促進させるという目的で、人口の八割が信奉するヒンドゥー教を国家の理念とはしないというものでした。それで会議派は、独立以来政教分離主義を党是として掲げてきましたが、80年代に入ってその姿勢を微妙に変えてきたのでした。


 その契機となったのは、1984年6月のシーク教本部寺院の武力による解放でした。このときは、70年代後半以降に中東で台頭してきたイスラム原理主義に刺激され、インドでもシーク原理主義が出現してきた時でした。そしてその寺院は、シーク教独立国家樹立を目指すシーク教過激派の牙城となっていたところでした。この武力解放はシーク教徒の反発を招き、同10月のシーク教徒護衛兵によるインディラ・ガンディー首相暗殺の原因となりました。


 インディラ・ガンディー暗殺後、会議派はインディラの長男ラジブを後継党首に立てて同年12月の第八回総選挙に臨みました。この選挙では、インディラの死への同情票に加えて、インドの統一がシーク教徒の脅威にさらされていると危機感をあおったことが功を奏し、会議派が圧勝しました。会議派は政権奪取のため、それまで固執してきた政教分離主義をかなぐり捨てて、ヒンドゥー主義を利用したのでした。


 このヒンドゥー主義を有効に機能させることになったのは、従来のエリート政治に代わる大衆政治の出現という、インド政治の構造的な変化がありました。独立から60年代までのインドの政治は、都市部の上位カーストや富農を中心とした階層によって運営されたエリート政治でした。それが60年代中ごろからの「緑の革命」によって経済力をつけた中農や小農などの後進カーストや、80年代に入ってその後進カーストの動きに触発された不可蝕民などの経済的最下層が大挙して政治プロセスに参加するようになったのです。

 そこで会議派の戦略は、有効に機能しなくなってきたエリート政治に、地域・階層に関わりなく包括的・横断的にアピールすることができるヒンドゥー・カードを用いて補強することでした。


 その後91年に行われた第10回総選挙では、ラジブ・ガンディー暗殺という事件がおき、これが会議派への同情を呼び、かろうじて第一党の座を得てナラシマ・ラオ政権が誕生しました。


 ラオ首相は政権発足の翌月に、ドラスチックな経済自由化を行う「新経済政策」を発表しました。当時のインド経済は、湾岸危機の余波もあり、1991年4月には外貨準備がわずか12億ドルという債務不履行の寸前にあり、IMFなどから融資を受けるために、経済改革が不可欠な状況でした。ちなみにこの時ラオ首相が蔵相に起用したのは、国際的な経済学者で、現在の首相であるマンモハン・シンでした。

 会議派が経済の自由化に踏み切った背景には、ポスト冷戦期の世界の変化がありました。中国は改革開放路線の採用により目覚しい経済成長を開始しており、ソ連・東欧圏は崩壊したことで、もはやインドも社会主義を標榜すし続ける必要性がなくなっていたことがありました。


 この冷戦構造と後ろ盾としてきたソ連の崩壊により、インドの外交政策も転換を余儀なくさせました。
 新外交路線の特徴は、従来よりも経済に力点を置いた外交、すなわち現実的な外交へのシフトでした。これを象徴するのが対米関係の改善でした。

 90年代のインド外交のもうひとつの特徴は、インド版「ルック・イースト」政策、すなわちASEANとの関係強化です。加えて、南アジア域内における地歩の構築でした。


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